882編公開中。 今を映す手鏡のように
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2017.10.9
引っ越しという自己点検
縦書き
 いろんな視点から自分を点検し考察しなおすための、たいへんな好機のひとつは引っ越しではないか。六年前におこなった引っ越しは、僕にとっては確実にそのとおりの機会だった。そのとき点検し考察しなおした自分というものは、それ以後…
2016.3.4
彼女の部屋の、ジャズのLP
 ぼくが彼女にはじめて会ったとき、ぼくはまだ少年であり、彼女は五歳年上の大人の女性だった。すっきりと成熟をとげた、いい雰囲気をたたえた、優しい、そして芯のある女性だった。  彼女と知り合ったのは、当時のぼくの自宅から歩い…
2016.3.1
カーメン・キャヴァレロ(3)
 一九六五年、昭和四十年、十二月、キャヴァレロは三度目の来日を果たした。それに先がけて、『カーメン・キャヴァレロと二人の世界』というLPが日本で発売された。昔のヒット歌謡曲三曲に、六〇年代なかばの日本でヒットしていた歌謡…
2016.2.29
カーメン・キャヴァレロ(2)
 カーメン・キャヴァレロのLPが日本で初めて発売されたのは、映画『愛情物語』が公開される以前、つまり一九五六年より前のことではないはずだ、と僕は推測している。『愛情物語』のサウンド・トラック・アルバムの、国内におけるおそ…
2016.2.28
カーメン・キャヴァレロ(1)
 一九七四年のたしか春だったと思う、僕はFM局で二時間のラジオ番組のホストのような役を、仕事の一部分として始めた。週に一度のこの番組、『気まぐれ飛行船』は、それから十三年間、続いた。その十三年間の前半にひとり、そして後半…
2016.2.27
青空とカレーライス
 日本では「私の青空」として知られている「マイ・ブルー・ヘヴン」という歌は、一九二七年のアメリカに登場してヒット・ソングとなった。アカデミー賞が設立され、ベーブ・ルースがニューヨーク・ヤンキーズで六十本のホームランを打っ…
2016.2.26
町にまだレコード店があった頃(3)
 中古のレコードを骨董市のようなところで買う体験を一度だけしてみたい、と僕はかねてより思っていた。僕はコレクターではないし、掘り出し物との遭遇に情熱を注ぐタイプでもない。だから体験は一度でいい。川越の成田山別院というお寺…
2016.2.25
町にまだレコード店があった頃(2)
 海原千里・万里のLPも残っていた。名前にひかれるところもあるが、十二曲のうち八曲までがいわゆる大阪ものであることから、僕はこのLPを買ったのだ、といま僕は推測する。大阪ものへの興味は、フランク永井に触発された。「大阪ぐ…
2016.2.24
町にまだレコード店があった頃(1)
 町にまだレコード店があった頃、そしてそれらのレコード店でLPをしきりに買っていた頃、僕はときどき歌謡曲のLPも買った。かつて全音の『歌謡曲全集』で見つけて気に入ったいくつもの歌のタイトルを、僕は記憶していた。レコード店…
2016.2.21
スター軍曹が降ってくる
 ある日の午後、すずらん通りにある二階の店から、僕はひとりで階段を降りてくる。手ぶらだ。探しているものは、この店にはなかった。では別の店へいこう。別の店への道順はさまざまにあり得る。その日の僕はすずらん通りの東の端まで歩…
2016.2.20
喫茶店を体が覚える
 LPが二十枚、ヴィニールの袋に入っている。かかえて持つとかなり重い。僕は中古レコード店を出て来たところだ。何軒かを巡回する予定だったのだが、一軒の店で二十枚も見つかってしまった。だから今日はこの一軒でおしまいだ。ひと休…
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