882編公開中。 今を映す手鏡のように
リンゴ の一覧
2017.8.22
純情だったあの頃のリンゴ
縦書き
 戦後、というと「リンゴの唄」だ。昔の日本人の心のなかで、両者は一本の線で結ばれている。心のなかと言うよりも、いわゆる一般常識のなかでは、と言ったほうが正確かもしれない。「敗戦後のなんにもない虚脱状態の日本人たちの胸に、…
2017.1.20
林檎の樹
 星条旗が立っている郵便局の裏をゆっくりとおりすぎると、行手に一本の巨木が見えた。樹木に関するぼくの知識で判断すると、その大樹は楢の樹の一種のようだった。  巨木や大樹は、たいていの場合、神々しさに近いような威厳を、長い…
2017.1.19
林檎の樹の下で
 空から雪が降る。その雪が山につもる。春になって、雪どけがはじまる。雪どけの水は山から谷をくだり、平野の河を流れる。その河の水が農産物を育てる。人間が、その農産物を管理する。  自然と人間の共存、あるいは、自然の片隅を利…
2016.10.30
アップル・サイダーと彼女
 アメリカの農業地帯に入りこんでいることは、数日まえからわかっていた。夜のモーテルで見るテレビに、たとえば肥料のコマーシャルが多くなっていたし、昼間、ハイウェイを走るときには、農作業用のトラクターやコンバインをつんだトラ…