973編公開中。 今を映す手鏡のように
ライター の一覧
2020.7.1
僕はチャーリー・ブラウンなのだから
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 僕が『ピーナッツ』を読み始めたのは、一九五六年ないしは一九五七年のことだった。どちらの年だったにせよ、信じられないことに、その僕は世田谷区で高校生だった。父親の仕事の関係で、自宅にはアメリカの新聞がいつも何種類もあった…
2020.3.26
浅野温子そして薬師丸ひろ子
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 二年前の二○一四年が僕にとっての小説四十周年だった。『野性時代』の創刊号に最初の短編小説を書いてから四十年だ。そして小説以前が十二、三年ある。角川映画が四十周年だという。作家活動と重なってるのですね、としばしば言われる…
2020.2.21
長いつきあいはまだ続く
縦書き
「ピーナッツ」のコミック・ストリップを最初に読んだのは、まだ子供だった頃だ。父親の仕事の関係で、アメリカの新聞や雑誌、そして書籍が、雑多に大量に、いつも自宅にあった。そのような新聞で見かけて、ふと読んでみた。ひょっとした…
2017.9.11
大統領によれば
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 二〇〇一年九月十一日の午前九時すぎ、大統領はフロリダ州サラソータのエマ・ブッカー・エレメンタリー・スクールという学校にいた。生徒たちと向き合って椅子にすわっている大統領に、画面の左手からひとりの男性があらわれ、大統領へ…
2017.7.21
虚ろな内側をよく見ておきなさい
縦書き
 ジュリー・ロンドンが歌う「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」の歌い出しは、三とおりのマイナー・コードのなかを下降して上昇しそこからふたたび下降するメロディによる、四分の三拍子の四小節だ。そしてそのなかで、Fly me t…
2017.6.28
ふたりは一九六六年を思い出す
縦書き
 ビートルズが日本に来たとき、ぼくはいわゆる「社会人」となって仕事をしていた。フリーランスのライターとして、いろんな雑誌に文章を書くのが仕事だった。親しく仕事をしていたある雑誌の編集員から、ビートルズの記者会見にいかない…
2017.2.7
カウボーイ・カントリーを夢に見ながら
 人は一生のあいだにいろんな場所を体験する。生まれ育ったところ以外の場所は、旅行で体験することが多い。仕事その他の都合で思いもかけなかったところに移り住む場合も、頻繁にある。  直接の体験以外に、間接的なかたちで、自分の…
2016.11.6
彼は鉛筆を削りながら交差点を渡っていった
 かつて鉛筆で原稿を書いていた頃、僕は自宅ではその鉛筆をナイフで削っていた。スイス・アーミー・ナイフ、つまりヴィクトリノクスあるいはウェンガーのどちらでもいい、長さ五センチと一センチ八ミリの大小ふたつの刃が一枚ずつついて…
2016.6.26
トリップ・カウンター・ブルースだってよ
1  エンジンをかけるため、路面が硬くて平坦なところへ、バイクを押し出していく。サイドスタンドをあげたとたんに、バイクの重さを全身に感じる。すさまじい重さだ。  かすかなダウングレードを、うしろむきに降りていく。生ゴムの…