981編公開中。 今を映す手鏡のように
ホノルル の一覧
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2020.5.29
マヨネーズ、という一語で終わる本
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 リチャード・ブローティガンの『アメリカの鱒釣り』は、デル・ブックスというペーパーバック叢書のローレル・エディションで刊行される以前に、いろんなかたちでいくつかのところに発表された。だからローレル・エディションの初版を持…
2020.4.28
パペーテ空港の夜
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 晴れた日の午後一時すぎにホノルル空港のはずれから飛行機に乗った。小型のプロペラ機、という言いかたのまさに当てはまるような飛行機だった。ディハヴィランドのなんとかという機種だったが、正確には覚えていない。なにしろあと数年…
2020.3.10
それをマヨネーズ・ブックと称したい
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 一九七二年の確か七月だったと思う。三十代の前半に入ったばかりの僕は、ホノルルのダウンタウンで定宿に滞在していた。南ベレタニアのそのあたりは、いつもは東京にいる僕にとって、一九五〇年代なかばから知っている、故郷のような場…
2018.11.30
ニコン・ニューFM2
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 ニコンのニューFM2を僕が手に入れてから、十年になるだろうか。なぜ買う気になったのか、いまはもう記憶していない。自分で使う一眼レフはOM–1にきまっていたから、なにか違うのも使ってみようか、という程度の気持ちだったよう…
2018.1.1
What’s it say?
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 このTシャツは一九六八年頃にホノルルで買ったものだ。タグにはクレイジー・シャツ・ワイキキとあり、ブランド名はポロとなっている。クレイジー・シャツのごく初期の製品だろう、と僕は見当をつけている。ラルフ・ローレンのポロとは…
2017.7.16
「あんた、なに食う?」
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 ホノルルの下町の、日系人たちが主として日常的に利用する安食堂の雰囲気を言葉で描写するのはなかなかむずかしい。安食堂という言葉は、けっして悪い意味ではない。そのような場所でのそのような食堂は、「安食堂」以外ではありえない…
2017.6.18
ラハイナ
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 深いブルーの空からショッピング・センターのコンクリートの駐車場にむかって、強い陽射しが明るく照りつけている。その駐車場に面して、カフェテリアがあった。建物の片隅を、ふと思いついてカフェテリアにしたような、小さな店だ。店…
2017.4.29
憧れのハワイ航路
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「チャイチャイブー」のひと言がなぜぼくにとって衝撃的であったかについて書くまえに、秩父丸に三等客として乗るとどのような感じであったかに関して、明らかにしておかなくてはならない。すべては有機的に複雑に連関している「チャイチ…
2017.2.25
移民の子の旅 ホノルル、一八六八年
 夜明けと共にワイアナエとコオラウの山なみの頂きに雨雲がとまりはじめた。空が白んでいくと、雨が来た。大粒の重い雨だった。草ぶきの屋根を叩き、板張りの小屋の壁を横なぐりにし、樹の葉にひっきりなしに当たっては、はじけた。たく…
2017.1.27
他人の虹の端に向かって
 虹が空に出る。消えてしまわないうちにその虹の一端までいく。虹が地面のすぐ近くから出ていたなら、その地面を掘る。すると、そこに埋められている秘宝が、自分のものになる。虹の端、ジ・エンド・オブ・ザ・レインボーには、宝が埋ま…
2017.1.9
僕にとっての個人的なスタンダード
 いまから百年前、おそらくまだ青年の名残をとどめていた年齢の頃、僕の祖父はハワイへ渡った。僕の父親はハワイで生まれてそこで育ち、カリフォルニアその他で成長の仕上げをした。ハワイとアメリカの日系人社会が、幼い頃から僕の身辺…
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