882編公開中。 今を映す手鏡のように
ビートルズ の一覧
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2017.6.28
ふたりは一九六六年を思い出す
縦書き
 ビートルズが日本に来たとき、ぼくはいわゆる「社会人」となって仕事をしていた。フリーランスのライターとして、いろんな雑誌に文章を書くのが仕事だった。親しく仕事をしていたある雑誌の編集員から、ビートルズの記者会見にいかない…
2016.9.29
単純なものと複雑なもの|エルヴィスから始まった
8 1960―1970 アメリカ 〈4〉 単純なものと複雑なもの   単純であることと複雑であることの差をはっきりと認識しなければならない。単純であることは、すでに一種の犯罪なのだ。複雑であることも犯罪にはなりうるのだが…
2016.7.27
『オール・マイ・ラヴィング』のシングル盤
 おもに仕事の打ち合わせの場所として、その頃の僕は、その小さな喫茶店を毎日のように利用していた。ある日、彼女は、そこにいた。ウェイトレスをしていた。僕の注文を彼女が受けてくれた。注文したものを彼女がテーブルまで持ってきて…
2016.7.16
女王陛下|アビーロードのB面
 彼女はその日の午後、郵便局へ行った。オフィスの郵便物を出すためだ。窓口には数人の列が出来ていた。その列に加わり、彼女は自分の順番が来るのを待った。  あとひとりで自分の順番というときになって、彼女は自分の前にいる人と窓…
2016.7.15
The End|アビーロードのB面
 彼女と彼は、抱き合っていた。相手の体に深く両腕をまわし合い、顔を接近させていた。そして赤い小ぶりな林檎をひとつ、ふたりはおたがいの口で、顔のあいだに支えていた。  ふたりはその林檎を、ひと口ずつかじっては食べていた。食…
2016.7.14
ヒット|エルヴィスから始まった
4 カントリー・ミュージック 〈5〉 ヒット  ナッシュヴィルで、カントリー・ソング名所案内の観光バスにのると、ハンク・ウイリアムズの家をみることができる。カーポートには、一九五二年モデルのキャデラックが、いまでも置いて…
2016.7.13
その重荷を背負う|アビーロードのB面
 彼はひとりで町を歩いていた。彼のすぐ前をふたりの男性が歩いていた。彼らは親しい友人どうしのようだった。彼とおなじような年齢、そしておなじような服装だった。  ふたりの会話が、すぐうしろから歩いていく彼に、断片的に聞こえ…
2016.7.9
ゴールデン・スランバーズ|アビーロードのB面
 この激しい降りようは、いったいどうしたことだろうかと、彼女はひとりで思った。叔母さんの家で過ごした、明るく陽の射す午後が、まるで嘘のようだ。あの午後が終わってから、まだ五時間ほどしか経過していないのだが、あの午後といま…
2016.7.8
彼女は浴室の窓から入って来た|アビーロードのB面
 カフェのカウンターのなかで、いつもコーヒーを作っている初老の男性が、カウンターで立ってコーヒーを飲んでいる客に、言っていた。 「そして、どうしたかと言うと、彼女は浴室の窓から入って来たんですよ」  軽く憤慨したような、…
2016.7.7
ビートルズは、つまらない |エルヴィスから始まった
8 1960-1970 アメリカ 〈3〉 ビートルズは、つまらない  ハンター・デイヴィスの『ザ・ビートルズ』は、読む気になれない。日本語ではもちろん、英語でも、ちょっといやだ。面白そうだ、ということは、わかる。英語のを…
2016.7.6
パムとはパミラのことか|アビーロードのB面
 町にいたときは快晴だったのだが、海岸まで来てみると、空には雲が出はじめていた。海岸は広く快適だった。人の姿は、遠くにひとりふたり、小さく見えているだけだ。  パミラは、初夏の街着のまま、海岸から海のなかへ入っていった。…
2016.7.5
ミスタ・マスタード|アビーロードのB面
「お若いの、今日も元気かい」  公園の浮浪者が、低い位置から彼にいきなり、声をかけた。  彼は午後の公園をひとりで歩いていた。空は灰色に曇っていた。雨は降っていないのだが、今日も彼はシャツの上に木綿のレイン・コートを着て…
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