882編公開中。 今を映す手鏡のように
ノートブック の一覧
2017.5.10
ノートブック
縦書き
 五月はじめのタヒチ。快晴の一日がほぼ終わり、太陽が海に沈む時間がはじまろうとしていた。  ホテルのプールサイドから、人々は部屋にひきあげていた。シャワーを浴びてひと休みしてから、夜の服に着がえるのだ。  プールのわきに…
2017.4.4
方眼のノートのなかには自由が広がっている
 方眼のノートが好きだった女性の友人を思い出す。縦の線も横の線も無視して、方眼の上に自由に文字や図を描くのはたいへんな快感なのだと、彼女は言っていた。あらゆるノートが、彼女の場合は方眼であり、手紙もそうだった。  ぼくも…
2016.12.4
ノートブックに描いた風景画|9〜13
 9  精悍な印象を全身にたたえた馬だ。だが、表情はきわめておだやかだ。悟りきった果てに到達したひとつの境地のような顔で、コンクリートの歩道を静かに歩いた。  馬にまたがっているのは、ナヴァホの若い女性だった。身につけて…
2016.12.3
ノートブックに描いた風景画|5〜8
 5  セヴン・アップとドクタ・ペパーの、横長の看板が、上下にならべて、白い壁に釘で打ちつけてあった。  その二枚の看板のすぐ右わきに、彼は立っていた。背丈は五フィート九インチくらいだろうか。へア・グリースを使ってものの…
2016.12.2
ノートブックに描いた風景画|1〜4
 1  三枚かさねた大きなパンケーキをバターとメイプル・シロップの洪水に沈め、彼はナイフとフォークを手術器具のように操り、秩序正しい正統的な食べ方でそれを食べた。  彼の屈強な下半身は、はき古したブルー・ジーンズがつつん…
2016.11.30
いちばん大事なアメリカ製品は、なにですか
 僕にとってもっとも大事なアメリカ製のものは、アメリカ英語、そしてそのなかに織りこまれている、もののとらえかたや考えかたの総体だ。それはピンからキリまであるのだが、出来るだけいいほうを目ざすとして、これがなかったら僕はど…
2016.11.20
文房具を買いに2013
 小さな文房具をひとつふたつ、いつも持ち歩く男、という人をかねてより僕は想像している。想像するだけではなく、僕がそのような人になってもいい。持ち歩く文房具にどのようなものがあるか。ほんの一例として、七つ選んで写真に撮って…
2016.11.15
子猫も呆れるノートブックの貯蔵量
 この子猫はセバスチャンという名の雄猫だ。何年か前、『ここは猫の国』という本を僕は作った。猫を主人公にした何冊もの外国の絵本を紹介した本だ。このときたくさん買った猫の絵本のなかに『セバスチャンの冒険』という作品があり、セ…
2016.11.2
[クレール・フォンテーヌのノートブック]
 クレール・フォンテーヌのノートブック、そしてパッド類は、ロディアと地続きだ。おなじフランスのものというだけではなく、クレール・フォンテーヌにおいてもまた、思考のかたちや論理の筋道の作りかたが、それをひとまず文字で紙の表…
2016.6.12
雨の京都で下書きをする
 久しぶりに万年筆を買った。  僕との相性の良さを中心に、いくつかの条件をもっとも高いところで満たしているのはペリカンだから、今回もペリカンにした。まったくおなじ種類のを三本。軸もキャップも透明なプラスティックで出来てい…
2016.4.27
ノートブックに書きなさい、とツバメが言う
 僕はツバメノートも愛用している。百四十八ミリに二百十ミリの二百ページ、三百八十九円というタイプだ。他にもいろんな種類があることは知っていたが、この本のためにあちこちの文房具店で点検を重ねたところ、うれしい発見がいくつか…