981編公開中。 今を映す手鏡のように
タクシー の一覧
2020.9.11
御八つ、お三時、三時ですよ
縦書き
 こうしてスパゲッティ・ナポリタンを初めて体験してからの僕が、なにかと言えば店でナポリタンを食べる子供になったかというと、そんなことはなかった。ナポリタンを作ってくれるよう、母親に頼む子供にもならなかった。なぜなら、この…
2017.7.19
デラックス・ダブル
縦書き
 ものすごく暑い日だった。かんかん照りだった。そして湿度が、限度いっぱいに高かった。暑さとかさなりあったその湿度は、具体的な重みとして、全身にのしかかってくるようだった。そんな日の、午後まだ早い時間に、ぼくは彼女と会った…
2016.9.15
雨の京都、主演女優、そして発泡する日本酒
「たまには対談をしてみませんか。相手は主演女優です」  と友人が言った。 「いつ、どこで、誰と」  と僕はきいてみた。  土居裕子さんが京都での公演に入るにあたって、スケジュールに半日の空きがある、と友人は答えた。 「彼…
2016.3.8
タクシーで聴いた歌
 春まだ浅い、という言いかたがほとんどあてはまらない、冬の終りに近い温い日の夜、十時前後、僕は東京でひとりタクシーに乗って走っていた。中波のラジオがかかっていた。聴取者が葉書で歌をリクエストする短い番組がやがてはじまった…
2015.12.27
プラモデル
 国電の駅を出てから踏切まで、どんなところをどのような経路で歩くのだったか、もう覚えていない。  現場へいって実際に歩いてみれば、思い出すだろう。しかし、あの頃からもうすでに十年以上が経過しているから、現場のほうだってず…