973編公開中。 今を映す手鏡のように
ジャケット の一覧
2020.7.17
日本の夏の夜、ディズニーランド・レコードを聴いてすごした二時間。ミッキーもドナルドも、みんな元気だった。
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 梅雨が明けた。急に暑くなった。日本の夏だ。素晴らしい。湿気が、じつにいい。独特の重さをたたえたこの湿気のなかに、日本の夏の官能が、息づいている。夜になると、いちだんと、素敵だ。  さっそく、キンチョウの蚊取り線香をたこ…
2020.4.30
南日本新聞のあれやこれや
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僕におけるもっともらしさ  かつて南米のペルーから日本へ数多くの男性たちが仕事をしに来ていた。彼らの姿をいまはまったく見ない。日本の失われた二十年の始まりとともに彼らも帰国し始めたなら、彼らが日本を去り始めてすでに二十年…
2018.11.26
ペンタックス・スーパーA
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 夏の終わりも近いある日の午後、僕はペンタックスのスーパーAという一眼レフを持って、撮影散歩に出た。スーパーAのなかに三十六枚撮りのリヴァーサルを一本、そしてポケットのなかにさらに二本。歩く時間はせいぜい三時間だから、こ…
2018.2.7
「グレーテスト・ヒッツ」
縦書き
 昨年の夏、真夏日の夕方、僕はひとりで新宿を歩いていた。新宿駅の南口から道を渡り、サザン・デッキとかいう通路をその奥に向かいながら、僕の頭のなかには、とりとめなくいろんなことが浮かんでは、消えていた。前後の脈などまったく…
2017.8.18
ワシントン・ハイツの追憶
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 一九五〇年代なかばから持っているジャズのLPを必要があって見直していたら、ラルフ・フラナガンのLPジャケットのなかに、一枚の写真が入っているのを見つけた。週刊誌ほどの大きさの白黒のプリントで、ワシントン・ハイツのおよそ…
2017.6.24
波止場通りを左に曲がる
縦書き
 デビューしてまだ間もない頃の美空ひばりを、何点もの写真で見ることができる。多くの写真に彼女は撮られ、それはさまざまな刊行物のなかに複製されている。そのような写真を数多く見ていくと、やがてはっきりわかってくることがひとつ…
2016.6.15
上を向いてスキヤキ
 イギリスのパイというレーベルのレコード会社のヘッドが、商用で一九六二年の東京を訪れた。そのときちょうど大ヒットしていた坂本九の「上を向いて歩こう」を彼は聴いてたいそう気に入り、レコードを手に入れた。そしてそれを持って帰…
2016.3.4
彼女の部屋の、ジャズのLP
 ぼくが彼女にはじめて会ったとき、ぼくはまだ少年であり、彼女は五歳年上の大人の女性だった。すっきりと成熟をとげた、いい雰囲気をたたえた、優しい、そして芯のある女性だった。  彼女と知り合ったのは、当時のぼくの自宅から歩い…
2016.1.28
服を見ればわかる
 引っ越しの話の続きを書く。二回に分けた引っ越しの最初の回〔「引っ越しという自己点検」(『自分と自分以外──戦後60年と今』〕では、ひとりの人が荷造りを手伝ってくれた。午後遅く、僕の衣服を段ボール箱に詰める作業を、その人…
2015.12.19
おそすぎたラブレター
 古い教科書の表紙をあけると、最初の白いページに、先生のお名前が鉛筆で書いてあります。黄色く変色してしまったページに、当時のぼくの筆跡で、ミス・キャシー・ブルックス、とだけ、力をこめて書いてあります。順おくりに何回もおさ…