973編公開中。 今を映す手鏡のように
シャワー の一覧
1 2
2020.7.17
日本の夏の夜、ディズニーランド・レコードを聴いてすごした二時間。ミッキーもドナルドも、みんな元気だった。
縦書き
 梅雨が明けた。急に暑くなった。日本の夏だ。素晴らしい。湿気が、じつにいい。独特の重さをたたえたこの湿気のなかに、日本の夏の官能が、息づいている。夜になると、いちだんと、素敵だ。  さっそく、キンチョウの蚊取り線香をたこ…
2018.1.26
「ワンス・アポナ・タウン」
縦書き
『ワンス・アポナ・タウン』というノン・フィクションは、二〇〇二年に刊行されたボブ・グリーンの作品だ。次の年にペーパーバックになったのを、僕は今年の春に手に入れた。ワンス・アポナ・タイム(昔々、あるとき)という定型の言いか…
2017.9.27
ブラックベリーとスニーカーの靴ひも
縦書き
 東京からひとりで自動車を走らせて三時間、彼女は高原のホテルに着いた。  よく晴れた明るい秋の日の午後のなかに、静かに、ゆっくりと、夕暮れが溶けこみはじめる時間だった。荷物を持ってホテルに入り、チェック・インした。ベルボ…
2017.9.1
ピアノを弾く人
縦書き
 ピアノを弾く女性が、好きだ。ひとりの女性の生き身が、ピアノというたいへんに構造的な楽器にたちむかうありさまが、いろんなかたちでぼくの興味をそそるからだ。何人もの女性の友人たちが、ピアノを非常に達者に弾きこなす。それぞれ…
2017.7.19
デラックス・ダブル
縦書き
 ものすごく暑い日だった。かんかん照りだった。そして湿度が、限度いっぱいに高かった。暑さとかさなりあったその湿度は、具体的な重みとして、全身にのしかかってくるようだった。そんな日の、午後まだ早い時間に、ぼくは彼女と会った…
2017.7.10
内省のアクア・マリーン
縦書き
 目を覚ます直前、ほんの一瞬、水のなかに浮かんでいる感覚がある。その感覚のなかを自分は上昇していく。水のなかからその外へと、自分は出ていきそうになる。だから水のなかへ自分を戻そうとして体に力を込めると、そのとき目が覚める…
2017.7.2
日時計の影
縦書き
 昼間なら広い庭を見渡すことの出来る窓辺のテーブルで、ぼくは彼女と親しくさしむかいだった。遅い夕食を、ぼくたちは、いっしょに食べようとしていた。多忙な彼女のスケジュールにあわせていたら、今日の夕食はこの時間になってしまっ…
2017.6.29
彼女が雨を見る態度
縦書き
 1   秋の雨の頃、仕事の帰りに彼女は京都に一泊した。京都は雨だった。その雨の京都から、彼女は、親しい友人に宛てて、絵葉書を出した。絵葉書に彼女は次のように書いた。 『雨の京都で蛇の目を買いました。さっそく、それをさし…
2017.6.23
金曜日の午後の飛行機だった
縦書き
 二階にあるコーヒー・ショップの、奥の窓ぎわの席で、ふたりは小さなテーブルをはさんでさしむかいにすわっている。「コ」の字型の建物が内側へかこいこんでいる内庭のようなスペースを、ふたりは窓ごしに見おろすことができる。内庭に…
2017.6.1
テキーラの陽が昇る
縦書き
 会議は二時間、続いた。十五分の休憩があり、会議は再開された。それから一時間が経過していた。さらに一時間は、続くはずだ。この会議をとりしきっている男性は、会議のためにこのような時間のとりかたをするのが、好みだ。休憩をあい…
2017.5.10
ノートブック
縦書き
 五月はじめのタヒチ。快晴の一日がほぼ終わり、太陽が海に沈む時間がはじまろうとしていた。  ホテルのプールサイドから、人々は部屋にひきあげていた。シャワーを浴びてひと休みしてから、夜の服に着がえるのだ。  プールのわきに…
2016.9.18
午後の紅茶の時間とは
 いま僕が滞在を許されているお屋敷では、午後三時になると、三時ぴったりに、僕の仕事部屋のドアにノックの音が聞こえる。はい、と僕が返事をすると、お茶のお時間でございます、いかがなさいますか、とドアのむこうから女性の声がきい…
1 2