884編公開中。 今を映す手鏡のように
サーフィン の一覧
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2017.9.21
波の上を歩いた姉
縦書き
 十五歳の夏の終わりに、姉は日本からカリフォルニアへ帰った。僕はハワイへ戻った。島はおなじだが、もとの家ではなく、新しい家だった。僕はまだ十歳になるまえだった。感謝祭が近くなった頃、姉はカリフォルニアからその家へ来た。姉…
2017.1.7
波乗りとは、最終的には、心の状態だ
 ヨーロッパ文明と接触する以前の、大昔のハワイ人たちは、文字を持っていなかった。だから、すべてのことが、喋る言葉によって、伝えられていった。  ハワイ諸島の創世伝説とか、昔のキングに関する記録のような言い伝えとか、さまざ…
2016.12.20
遠い昔の日に
 大昔のハワイでは、平民も貴族も、だいたい分けへだてなく平等にサーフィンを楽しんでいた。しかし、やはり貴族たちのほうが、有利だった。アリイと呼ばれていた酋長階級だ。平民のように直接の生産に従事せず、したがってヒマがあった…
2016.12.19
陽が沈むころ、オンボロ自動車で波乗りフィルムを見に行く
 朝は早くに起きる。五時、六時という早さだ。まやかしのない、ソリッド(内容のしっかりした)な材料でつくった朝食を、時間をかけてゆっくり、しかも、しっかりと食べる。食卓の話題は、波のことばかりだ。ラジオのニュースが、今日の…
2016.12.18
十二月のハワイは波乗りシーズンのちょうどまんなか
 スクリーン・ドアをあけて玄関のポーチのうえに出る。気持ちの良い、さらっとした風が、全身をなでる。ポーチの木の階段を、庭へ降りる。芝生のうえを裸足で歩く。芝生は、しっとりぬれている。淡いとおり雨の雲が、さあっとまいていっ…
2016.9.3
風に恋した
「最高だった!」  と、彼女は、言っていた。  瞳が、輝いていた。  瞳が輝くその瞬間、彼女の全身が、生き生きしていた。  なにがそんなに最高だったのか、ときくと、彼女は、次のようにこたえた。 「うーん、ひとことで言うと…
2016.8.31
夏は終わる。しかしサーファーにはなれる
 一時間三十分ほどのカラー・シネマスコープ映画を一本観ただけで自分の世界観が実際に変わってしまうことが現実にありうるのだ、ということから波乗りについてすこし話してみよう。 『エンドレス・サマー』という、一九六〇年代アメリ…
2016.8.27
宇宙の時間と空間のなかへ
 人は時間と空間のなかに生きている。ここで僕が使う、時間という言葉も空間という言葉も、ごく普通の意味での、時間および空間だ。空間は、主としていつもの自分の場所だ。自宅や自分の部屋、勤め先、仕事場、いつもいく店、好きな旅行…
2016.8.24
昔のハワイという時空間への小さな入口
 ワイキキのクヒオ・ビーチに、デューク・カハナモクの等身大を超える大きさの銅像が、いまでも立っているはずだ。デュークについて少しでも知っていれば、その銅像を見て多少の感銘を受けるかもしれない。ビショップ博物館へいくと、昔…
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