972編公開中。 今を映す手鏡のように
サスペンス の一覧
2020.6.30
TVの記憶をふたつ
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 当時の僕の仕事場はたいそう快適だった。東の端にあった階段を二階へ上がり、まっすぐの廊下を西へ向けて歩いていき、突き当たりにあった和室を抜けると、二十畳ほどの広さの人工芝のヴェランダだった。このヴェランダの南西の角に、温…
2020.6.5
残りご飯のバター炒めと海苔の佃煮
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 一枚の写真が、なんらかのかたちあるいは意味で、物語のなかで重要な役を果たす短編小説をいくつか書き、一冊の本を作ってみたい、といま僕は考えている。物語はみな多様なものになるだろう。どのような物語をどんなふうに構成し、それ…
2018.4.4
春まだ浅く、三冊の本を買った夕方
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 今年の春がまだ浅かった頃、平日の夕方、僕はその大きな書店に三階から入った。奥のエスカレーターでいつものように六階へ上がった。六階の三分の一ほどが洋書売り場だ。洋書売り場の客になると、そのとたん、やや誇張して言うなら、僕…
2018.3.23
父親と息子のハードボイルド人生
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 スティーヴン・ハンターのペイパーバックが八冊、今回の写真のなかにある。アール・スワガーという男性と、その息子であるボブ・リー・スワガーを主人公にした、時間軸と物語が父と息子の二代にわたる、たいそうラギッドにハードボイル…
2018.3.7
うちの山にいた五人の私立探偵
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 五冊あるペイパーバックのどれもが、私立探偵を主人公にしている。私立探偵が一人称で語る物語を、ふと読みたくなるときがある。一冊読むと二冊目を読みたくなる。あとを引く。だから三冊目を読み、もう一冊、さらにもう一冊と、あっと…
2018.2.21
アメリカン・ノワールの傑作
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 前回の僕は写真について説明していない。本文とは関係のない、飾りとしての写真だったが、いちおう説明しておこう。『死を賭けて』を一九六二年に発表したあとのダン・J・マーロウは、個別の主人公を持つそれぞれ独立した作品を、一九…
2018.2.12
「ザ・ネーム・オヴ・ザ・ゲーム・イズ・デス」
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 昨年のいつだったか、『コロラド・キッド』というミステリーのペーパーバックを買った。作者はスティーヴン・キングだ。『コロラド・キッド』という題名には惹かれるものがあった。この題名でキングがいったいどんな物語を書いたのだろ…