973編公開中。 今を映す手鏡のように
ギター の一覧
2020.7.2
風がそこに吹いている
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1  そこにいるのは自分ひとりだけという他に人のいない状態を寂しいと言うなら、それはlonesomeだよと、英語で説明されたのは、僕が六歳くらいのときだ。この説明を聞いてlonesomeはよくわかったが、自分では使うこと…
2020.4.28
パペーテ空港の夜
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 晴れた日の午後一時すぎにホノルル空港のはずれから飛行機に乗った。小型のプロペラ機、という言いかたのまさに当てはまるような飛行機だった。ディハヴィランドのなんとかという機種だったが、正確には覚えていない。なにしろあと数年…
2020.4.8
What’s he got to say?
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 No Direction Homeは二〇〇五年にマーティン・スコセッシのコピーライトになっているドキュメンタリー映画だ。日本語の題名はないようだ。たとえば「帰路無道標」と表記して、音声では「ノー・ディレクション・ホーム…
2018.3.26
ペイパーバックの中のトルーマン・カポーティ
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 トルーマン・カポーティの小説『ティファニーで朝食を』を、いま頃になってようやく僕は読んだ。長編小説だとばかり思っていたのだが、短い小説だ。しかし短編とも呼びがたいのだろう、シグネットというペイパーバックの叢書で一冊にま…
2017.8.10
スヌーピーはハウンド・ドッグだった
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『これがアメリカだよ、チャーリー・ブラウン』という、全八巻のヴィデオ・シリーズがある。チャーリー・ブラウン、ルーシー、スヌーピー、シュローダーなど、『ピーナッツ』の主人公たちが登場する、アニメーションによるエンタテインメ…
2016.7.9
ゴールデン・スランバーズ|アビーロードのB面
 この激しい降りようは、いったいどうしたことだろうかと、彼女はひとりで思った。叔母さんの家で過ごした、明るく陽の射す午後が、まるで嘘のようだ。あの午後が終わってから、まだ五時間ほどしか経過していないのだが、あの午後といま…
2016.5.18
雨の夜、電話ブースで待っていた
 真夜中に電話が鳴った。沖縄が梅雨入りをしたという小さな記事を新聞で読んだ三日後の、雨の夜だった。  女性の友人からの電話だった。電話ブースのなかで雨宿りをしているので、自動車で助けに来てもらえないだろうか、というお願い…