981編公開中。 今を映す手鏡のように
おやつ の一覧
2020.9.11
御八つ、お三時、三時ですよ
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 こうしてスパゲッティ・ナポリタンを初めて体験してからの僕が、なにかと言えば店でナポリタンを食べる子供になったかというと、そんなことはなかった。ナポリタンを作ってくれるよう、母親に頼む子供にもならなかった。なぜなら、この…
2020.8.14
ナポリタンをシェアしたくない昭和の子供
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 外寸で直径が六十五ミリ、高さはちょうど百ミリのスティール缶だ。プル・リングで開けることができる。二百九十五グラムのパスタ・ソースが入っている。二人前から三人前として使えるそうだ。缶から鍋に空けて、かき混ぜながら弱火で温…
2020.6.9
昼寝のあとのポッキー
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 いつも使っている私鉄の、普段は降りることのない駅で降りた僕は、きれいに晴れた気持ちの良い午後、駅前商店街をその奥に向けて歩いていた。商店街が終わるあたりの店に、ほんのちょっとした用事があったからだ。  寝具店の前から道…
2020.5.13
砂糖は悲しいものだった
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「三歳、四歳、五歳の頃は、家のなかでしょっちゅう迷子になってたのよ。でも、小学校に上がってからは、それがぴたっとなくなったの。それだけ成長したからだろうと思うけれど、そんなに急に成長するものなのかしら」  七歳の僕に友だ…
2020.5.12
「四角い食事」とは、なにか
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 スクエア・ミールという英語の言葉を日本語に直訳すると、四角い食事、ともなるだろう。一般に市販されている普通の煙草ではない、マリファナ煙草のようなものを総称して、スクエア・ミールと呼んでいた時代があった。いまでもその意味…
2019.12.17
友だちの家で食べた
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 友だちの家で初めて食べたものが、僕には多いような気がする。印象が強く残り、したがっていまでもよく覚えているものを三つだけあげると、寒天、芋粥、そしてカレーライスとなる。  寒天は武家屋敷の別邸に住んでいた友だちのところ…
2016.9.12
電車の中で食べました
 都内ターミナル駅の広くて複雑なコンコース。多数の人がいろんな方向へ常にいきかう平日の午後、人どおりがもっとも多い時間。二十代後半、会社勤めのスーツ姿の女性が足もとに鞄を置き四角い大きな柱にもたれてちくわを食べているのを…