882編公開中。 今を映す手鏡のように
『映画を書くー日本映画の原風景』 の一覧
2017.8.14
『東京五人男』一九四五年(昭和二十年)
縦書き
 一九四五年の七月、日本に対して連合国側から、降伏してはどうかという勧告があった。ポツダム宣言だ。日本の海軍は戦争の終結を望んでいた。陸軍は本土決戦を唱え、首相はポツダム宣言に対して、ただ黙殺するだけだ、という態度を取っ…
2017.8.9
『ハナ子さん』一九四三年(昭和十八年)(2)
縦書き
前回(1)はこちら  隣組とは、昭和十五年に日本国家が制定した、最末端の一般市民組織だ。政府からの伝達を伝え合ったり、生活物資を配給したりするときに機能したそうだ。国民をひとからげに管理しようとした国家の試みのひとつだ。…
2017.8.8
『ハナ子さん』一九四三年(昭和十八年)(1)
縦書き
 映画の冒頭、タイトルよりも先に、「撃ちてし止まむ」という言葉が画面に出る。この言葉を僕は知っている、しかし、どのような経過をへて世のなかに出た言葉なのか、背景はまったく知らない。しかし調べればすぐにわかる。一九四三年の…
2016.12.27
『ハワイ・マレー沖海戦』一九四二年(昭和十七年)
縦書き
 一九四〇年の十月、日本軍はフランス領インドシナの北部へ進駐した。現在のヴェトナム、カンボディア、そしてラオスなどの一帯だ。中国を支配しようとしていた日本は、この進駐によって東南アジアから中国へ物資が入るルートを絶とう、…
2016.12.17
『東京ラプソディ』1936年(昭和11年)|2
➡︎前半|1  マキと船橋、そしてハト子の三人は、料亭へ出かけていく。蝶々を指名する。蝶々さんが座敷へ来る。あでやかに美しい、優美な芸者さんだ。やや気後れしつつも、マキは彼女と対決する。若原一郎にはこんな可愛い恋人がいる…
2016.12.16
『東京ラプソディ』1936年(昭和11年)|1
 おおまかに言って銀座の西側、若い女性の足で有楽町の駅から小走りに三分ほどでいけるあたりに、若原クリーニング店という洗濯屋さんがある、という設定だ。銀座でなくては物語にならない、だからそのクリーニング店は銀座にある。そし…
2016.2.12
『結婚の生態』1941年(昭和16年)(2)
前回|1|  ふたりの結婚式の様子は省略されている。式を終わって車で出かけるふたりの、式場の玄関先での描写フィルムが、式にまつわるすべてを代表している。ふたりは彼の両親の墓参りをする。旅行が終わったらきみの両親の墓にお参…
2016.2.11
『結婚の生態』1941年(昭和16年)(1)
 「石川達三の小説『結婚の生態』から、良き結婚生活精神の建設を新たな物語に描いてー」という文章が、冒頭でスクリーンに映し出される。原作は当時のベストセラーだったという。若い優秀な新聞記者がひとりの女性と知り合い、結婚して…
2015.11.27
『東京の宿』1935年(昭和10年)
 昭和10年に公開された日本の娯楽映画を、たとえば向こう3か月のうちに10本ほど映画館で見る、というようなことは、いまの日本ではまず不可能だ。数の揃っている店へいき、ヴィデオとして市販されている昭和10年製の娯楽映画を、…