『ブックストアで待ちあわせ』 の一覧
2017.9.18
ヴァーガス・ガールという、架空の女性たち

縦書き
ヴァーガス・ガールという、架空の美しい女性について書くことにしよう。 ヴァーガスは、VARGASとつづる。ヴァーガス・ガールとして広く知られている一連の美人画を描いた画家の名前だ。フル・ネームは、アルベルト・ヴァーガ…
2017.9.6
アメリカのお気に入りは、ひたすら甘く、あくまでも軟らかい

縦書き
アメリカのスーパー・マーケットで買物をするたびに、ふと思うことがひとつある。それはなにかというと、現在のアメリカのスーパー・マーケットで買える食品のすべてを一点ずつ買いこみ、カラー写真に撮り、詳しく研究し、『アメリカの…
2017.7.25
イースト・サイドの、暑い日の午後の消火栓

縦書き
それほど緊急の用事でもない、という感じでパトロール・カーがくる。歩道に寄ってそのパトロール・カーはとまり、サマータイム・ユニフォームを着た中年の警官がふたり、外に出てくる。ひとりは居心地悪そうにあたりを見まわし、レンチ…
2017.6.4
ぼくはなぜブローティガンをいちどにぜんぶ読まないか

縦書き
丹後半島で白い灯台を見たあと汽車を乗りつぎ、最終的には新幹線で東京へ帰ってきた。 6月の東京は、薄曇りだった。いっしょうけんめいに歩くと暑そうだが、いっしょうけんめいでなければ快適な気温のようだったから、ぼくはいっし…
2017.2.24
カートゥーンという素晴らしいものが、アメリカから消えてゆく
カートゥーンという素晴らしいものが、ごくゆっくりではあるけれど、アメリカから消えていきつつあるようだ。カートゥーンという言葉を辞書で引くと、「マンガ」と出ている。一般にはひとコマのマンガのことだ。日本では、ワンカット・…
2017.2.17
女性ボディビルダーの魅力を支える、苦しみの個人史
アメリカの女性ボディビルダーたちのヴィデオ・テープをぼくは見たことがある。何人かのフィーメイル・ボディビルダーたちが画面に登場し、自分とボディビルディングとの関係について、まず手みじかに語る。 理想の状態に近づくため…
2017.2.4
エドワード・ホッパーが描いたアメリカの光
エドワード・ホッパーの画集が欲しいと、もう何年もまえから、ぼくは思っていた。ペーパーバウンドの小型の本でいいから、できるだけたくさんホッパーの絵が収録してあり、彼の絵および彼についてのきちんとした評論ないしは解説がつい…
2017.2.1
岩波写真文庫が切り取ったモノクロームのアメリカ
昔、といってもそれほど昔ではないのだが、岩波写真文庫という文庫のシリーズがあった。発行していたのは、岩波書店だ。 創刊されたのは一九五〇年くらいではないだろうか。およそ考えうるありとあらゆるテーマをモノクロームの写真…
2017.1.8
彼は二十一歳、ヘアクリームでなでつけたDAは栗色に輝いていた
エルヴィス・プレスリーのファンにとって、『エルヴィス’56』という写真集は、もっとも貴重な本ではないだろうか。アルフレッド・ワートハイマーというフォト・ジャーナリストが撮った写真および文章で構成されている本…
2016.12.21
クロスワード・パズルの楽しさが、ぼくを離してくれない
ぼくは、クロスワード・パズルについて書くのを忘れていた。 だから、クロスワード・パズルについて書こう。 日本でアメリカのクロスワード・パズルに接するもっとも簡単な方法は、日本で発行されている英字新聞を買い、その新聞…
2016.6.6
雨が、ぼくにオードリー・フラックの画集を開かせた
窓の外にいま午後がある。その午後は、いっぱいに雨を持っている。梅雨の雨だ。今年は、長くて冷たい梅雨だという。なるほど、いまはたしかに肌寒い。 雨を見ながら、ふと考えた。雨は不思議だ。 もしいま雨が降っていなかったな…
2016.4.24
デリア・エフロンの二冊の本が描く、アメリカの子供の世界
デリア・エフロンの二冊目が出た。今度のタイトルは『ティーンエイジ・ロマンス』という。アメリカでは一九八二年九月に書店にならんだのだが、ぼくは十一月になってから東京で手に入れた。 デリア・エフロンの一冊目である『まるで…