884編公開中。 今を映す手鏡のように
『ノートブックに誘惑された』 の一覧
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2017.9.26
言葉を捨てた人たちの便利機能満載機種
縦書き
 僕はいまこの文章をオアシス・ライトのもっとも初期のワープロ(以下、WPと略す)を使って書いている。どこを捜してもいまはもう見つけることの難しい旧タイプのものだが、短いエッセイを書くにはこれで充分なので、いまでも使ってい…
2017.8.13
リゾートの島で二十一世紀最大の課題を知る
縦書き
 遠い南の海に浮かぶ小さなリゾートの島というものは、僕にとってはたいへんに不思議で奇妙なものだ。これはいったいなになのだろうかと、そのような場所へいくたびに、僕は違和感を楽しむ。グレート・バリア・リーフのなかにあるハミル…
2017.6.5
マグリットの絵のように
縦書き
 梅雨(つゆ)が近い。しかし今日は晴れていた。海と海岸の上に青い空が広がり、夏のような陽ざしが満ちている空間のなかを、さわやかに風が吹き渡った。  その風のなかに、今日の彼と彼女はいた。ふたりは午前中からともに仕事をして…
2017.2.19
彼らが愛する女性たちの外観
ー 1 ー 『エスクワイア』のアメリカ版一九九一年八月号に、写真によるアメリカ女性のポートフォリオ、という記事があった。さまざまな写真家に依頼して撮ったアメリカ女性の写真二十六点が、三十ページにわたってならべてあるという…
2017.1.12
南の海の小さな島に誘惑されて
 地球儀の南側に横たわる巨大な海のまんなかの、小さな小さな島にひとりで到着してホテルに入り、部屋のテラスから海を見ながら僕は水を飲む。遠いところへ来たなあと、つくづく僕は思う。ジェット旅客機の定期運行システムとそれを支え…
2016.12.4
ノートブックに描いた風景画|9〜13
 9  精悍な印象を全身にたたえた馬だ。だが、表情はきわめておだやかだ。悟りきった果てに到達したひとつの境地のような顔で、コンクリートの歩道を静かに歩いた。  馬にまたがっているのは、ナヴァホの若い女性だった。身につけて…
2016.12.3
ノートブックに描いた風景画|5〜8
 5  セヴン・アップとドクタ・ペパーの、横長の看板が、上下にならべて、白い壁に釘で打ちつけてあった。  その二枚の看板のすぐ右わきに、彼は立っていた。背丈は五フィート九インチくらいだろうか。へア・グリースを使ってものの…
2016.12.2
ノートブックに描いた風景画|1〜4
 1  三枚かさねた大きなパンケーキをバターとメイプル・シロップの洪水に沈め、彼はナイフとフォークを手術器具のように操り、秩序正しい正統的な食べ方でそれを食べた。  彼の屈強な下半身は、はき古したブルー・ジーンズがつつん…
2016.11.30
いちばん大事なアメリカ製品は、なにですか
 僕にとってもっとも大事なアメリカ製のものは、アメリカ英語、そしてそのなかに織りこまれている、もののとらえかたや考えかたの総体だ。それはピンからキリまであるのだが、出来るだけいいほうを目ざすとして、これがなかったら僕はど…
2016.11.29
京都の四季を英語で三行詩に
『キョート・ドゥエリング』は、京都に二十五年にわたって住んでいる、イーデス・シファートというアメリカ女性の作品だ。短い詩による一年、という副題のとおり、ぜんたいは一月から十二月まで、十二に分かれている。そしてその一年を描…
2016.10.8
一冊のペーパーバックは、日常ではない時間の象徴だ
 英語による僕の読書はペーパーバックに限られていると言っていい。不特定多数を相手にしたマス・マーケット用のいわゆるペーパーバックと、読者が多数であるにこしたことはないけれど不特定ではあり得ないクオリティ・ペーパーバックの…
2016.10.2
ジャスト・マイ・サイズ
 彼女がステーション・ワゴンを運転していた。隣の席には、彼女の同性の友人がすわっていた。 「久しぶりに晴れたわね」  彼女が言った。 「気持ちいいわ」  友人が答えた。 「雨の日や曇った日は、自分の気持ちが内面にむかうの…
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