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評論・エッセイ

義男の青春と別離

 十一月十五日、快晴の平日、午後三時から四時のあいだ、僕は京都の三月書房にいた。友人たちふたりがいっしょだった。三月書房は御池から寺町通りに入ってすぐ左側にある。この書店が健在なら日本はそれでいいか、という気持ちになっている。数冊の本を僕は買った。友人たちもそれぞれに何冊か買ったと思う。僕が買った数冊の本のなかに、つげ義春さんの『義男の青春・別離』という文庫があった。ちくま文庫だと思っていたが、新潮文庫だった。買おうと思って東京の書店で探しても見つからなかったのは、そのせいか。かつて友人が進呈してくれて、そのときに読んだのだが、なぜだ…

底本:『酒林』2020年1月号

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