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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

町にまだレコード店があった頃

 町にまだレコード店があった頃、そしてそれらのレコード店でLPをしきりに買っていた頃、僕はときどき歌謡曲のLPも買った。かつて全音の『歌謡曲全集』で見つけて気に入ったいくつもの歌のタイトルを、僕は記憶していた。レコード店へいき、記憶しているタイトルを店主に告げ、オリジナルの歌い手は誰であったか教えてもらう。そのレコードをシングル盤で探す。あれば買う。そして聴いてみる。
 そのようにしてオリジナルを聴いていくと、ほかの歌手が歌ったものも聴いてみたくなる。そのために僕は、自分が記憶しているタイトルの歌が何曲か収録してあるLP…

底本:『音楽を聴く』(第三部 日本人はいろんなものを捨てた 歌謡曲とともに、純情も捨てた) 東京書籍 1998年

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