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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

この国の動きかた

 政府が提出していた有事法制関連三法案が、第一五六回国会で成立することが確実になった。五月十四日、小泉首相は官邸で次のように語った。「これまでは有事を論議することすらタブーだった。それなのにいま、有事立法をめぐって、与党と野党第一党が合意を見た。これは日本の政治史にとって画期的なことだ」こういう意味のない発言が、本気なのかどうか。それはここでは問わないとして、有事立法をめぐって、内容をともなった真剣な論議がおこなわれた形跡は、どこにもない。そのようなことは、彼らにはそもそも出来ないはずだ。したがってこの合意にも、確たる内容はなにもない…

底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年

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