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評論・エッセイ

サン・キング|アビーロードのB面

 目を覚ました彼は、ベッドの上に起き上がった。薄いブランケットをはねのけ、ベッドを降りた。Tシャツにトランクスの彼は、椅子の上にあったよれよれのチーノを手に取り、それをはいた。Tシャツの両袖を、彼は肩までまくり上げた。
 三歩で、寝室の外に出ることが出来た。次の二歩で廊下をむこうへ越え、さらに二歩で彼はキチンのなかだった。
 必要にして最小限の設備のある、小さなキチンだ。食事のための丸いテーブルが奥にあり、そのむこうは窓だった。窓のカーテンは、開いたままだった。彼は窓へ歩いた。
 窓のそとには…

底本:『アール・グレイから始まる日』角川文庫 1991年

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