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評論・エッセイ

スープはどうなさいますか

 いまの日本のどこへいっても、そこにはスーパーがある。片仮名書きされたスーパーという言葉はもうとっくに日本語で、スーパーを意味する。スーパーとはなにですか、と尋ねられたなら、それはスーパーです、と答えるほかない。字面とその意味するところが、完全に一致している。珍しい例かと思うが、このような例はほかにもたくさんあるだろう。
 そのスーパーに、キャンベルの缶詰スープが、何種類も、そして驚くほどに安い値段で、しかも品切れなどになることなく、一年三百六十五日、いつでも大量に陳列され販売されている。たまに僕はその光景を見る。すごい…

底本:『白いプラスティックのフォーク──食は自分を作ったか』NHK出版 2005年

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