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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

白いプラスティックのフォーク

 ボール紙の箱の側面に「フォークス」と赤い英文字が内容を明記している。「フォーク」の複数だ。重苦しい書体だが、歴史的には民衆の書体だと僕は思う。その赤い「フォークス」の左右に、三つずつ垂直にある小さな赤い点は、なにだろうか。「フォークス」を目立たせ、強調する役割を担っているのだろうか。全長五インチのフォークが二十四本、この箱のなかに入っているという。「フォークス」の上に、ライトウエイト・カトラリー、という言葉が見える。ライトウエイトとは、よく言ったものだ。確かに軽い。プラスティック、という身も蓋もない言いかたをここで避けてどうなるわけ…

底本:『白いプラスティックのフォーク──食は自分を作ったか』NHK出版 2005年

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