882編公開中。 今を映す手鏡のように
2015.11.9
ブックストアで待ちあわせ
 海にむけてくだっていくゆるやかな坂道が、3ブロックにわたってつづいていた。ブックストアは、まんなかのブロックの、さらにちょうどまんなかにあった。  町のいちばん高いところから海岸へ降りていくこの坂道は、町のメイン・スト…
2015.11.8
現実に引きずられる国
 日本政府がやろうとしている憲法の改正は、あっさりと実現するだろう。そして新しい憲法は、その字面だけをぼんやりと読んでいるかぎりでは、たいそう立派なものとなる可能性は高い。  改正の理由として、一般的に言ってもっとも説得…
2015.11.7
人にあらざる人
 秋のある日、僕はへッドフォーン・ステレオをひとつ買った。いま買うことの出来る全商品が展示してある店の棚のまえで、ひとつひとつ見くらべながら、添えてある丁寧な能書きを読んでいくと、ひとつを選ぶまでに一時間ほどかかった。 …
2015.11.6
道という道をぜんぶ
 いつごろから思いはじめたことなのか、自分自身でもはっきりしないのだが、かねてよりぼくとしてはかなり執着して考えつづけていることのひとつに、日本じゅうの道路という道路をすべて体験してみたい、というおかしな願望がある。  …
2015.11.5
対等に開放された関係の物語
『エドワード・ヤンの恋愛時代』はなかなか面白い。面白い、という言いかたは、僕の言葉づかいの癖のひとつだ。見ていて盛んに笑うことが出来た、というような意味ではない。いろいろと考えて楽しむきっかけを作ってくれるから、見ておい…
2015.11.4
深まりゆく秋です
 たとえば、深まりゆく秋という日本の季節感のなかをオートバイでツーリングしていてめぐりあう食べもの、飲みものについてすこし書いてみようかなと考え、過去の体験をあれこれよみがえらせていて、ひとつ面白いことに気づいた。日本の…
2015.11.3
「不断の努力によって」
 日本国憲法の第十一条は基本的人権についてのものだ。憲法の保障するものとして、国民にはすべての基本的人権があたえられていて、それは侵すことの出来ない永久の権利である、ということになっている。そしてその次の第十二条は、憲法…
2015.11.2
結婚する理由がない、と彼女が言う
 この短い文章のためにぼくにあたえられているテーマは、「男が結婚したいと思う女性には共通項がある」というテーマだ。ぼくは困った。共通項がある、と断定してある。しかもその断定は、男性の側から一方的になされたものであるらしい…
2015.11.1
風と紅茶の一日
 自分でブレンドした自分だけの紅茶を、ぼくはときたまつくる。つくり方は、簡単だ。くせのない、ごくスタンダードな味のするセイロン・ティーをベースに、そこへ自分の好みのものを加える。シナモンをこまかく砕いたもの。トロピカル・…
2015.10.31
あの店でコーヒーを飲みたい
 あの店でコーヒーを飲みたい、という気持ちを純粋に心のなかで高めて、コーヒーだけのためにわざわざでかけていく店が、いまのぼくには二軒ある。一軒は国内、そしてもう一軒は、国外だ。  国内のほうの店には、簡単にいくことが出来…
2015.10.30
フォルクスワーゲンを元気に生かしつづけておくには
『あなたのフォルクスワーゲンを生かしつづけておくにはどうすればいいか』という本が、なつかしい。《どんな馬鹿にでもひとつひとつ順を追って修理・メインテナンスできるように書いてあるマニュアル》と、サブタイトルがついている。と…
2015.10.29
最初から絶対に孤独な人たち
 映画『ぼくの美しい人だから』の原作『ホワイト・パラス』(邦訳は新潮文庫『ぼくの美しい人だから』)のことを、ぼくはイギリス版の『エル』に掲載されていた紹介記事で知った。もう二年ほどまえのことだ。この小説は面白そうだ、ぜひ…