882編公開中。 今を映す手鏡のように
2015.11.21
『湾岸道路』
 かつて僕に割り振られた角川文庫の背中の色は、赤だった。これを書いているいまから数えて、すでに一年と六か月以上、僕は角川文庫から文庫を刊行していない。背中の赤い色も、すでに過去のものだと言っていい。その過去を、さらに僕は…
2015.11.20
子供のままの自分
 僕はじつは子供のままだ。子供の僕とは、五歳くらいから十七、八歳くらいまでの、十年を少しだけ越える期間にまたがる僕だ。その僕がいまもまだ僕のなかにいる。ああ、こういう自分は五、六歳の頃の自分とまったく変わらないな、と思う…
2015.11.19
爆弾の穴について思う
縦書き
 畑にできていた爆弾の穴について、いま僕は思っている。日本が太平洋戦争に大敗北する前年の春先から、昭和二十二年の夏の終わりまで、五歳から八歳までの四年間、僕は山口県岩国市の瀬戸内に面した町で過ごした。米軍による爆撃が激し…
2015.11.18
僕たちのはじめての海
 ハワイにいるときの彼は、オアフ島の北側、サンセット・ビーチのすぐかたわらにあった木造二階建ての古い家に住んでいた。その家へ僕は何度も遊びにいった。泊めてもらったことも一度や二度ではない。彼がほかの場所にいるときには、自…
2015.11.17
ターザンが教えてくれた
 子供のころ、ぼくはほんとうによく遊んだ。年上の少年たちといっしょに、一人前にとびまわって遊べるようになったのが、小学校1年生くらいのときだろうか。それから12歳くらいまでの全期間をとおして、ぼくは子供の遊びを徹底して遊…
2015.11.16
ロングボードの宇宙
 ロングボードにまたがって、ぼくはいま沖にいる。波をつかまえるために位置をとり、波を待っている。太平洋をうねってくる波がたたえている、生きた命のようなエネルギーをつかまえるには、この重いロングボードがいちばんいい。  両…
2015.11.15
いま、ここにある、自分の場所
 世界地図を、じっくりとながめてみよう。地図帳ではなく、できるだけ大きな一枚の紙に印刷した、世界地図だ。  日本でつくった世界地図だと、なぜだか日本がその地図のまんなかにくるような構図になっている。どこの国の世界地図でも…
2015.11.13
アメリカの心がうたう歌が聞こえる
 『アーサー・ロススタインによる、写真に写しとられた1930年から1980年までのアメリカ』という1冊の写真集には、ブラック・アンド・ホワイトによる90点の写真がおさめてある。タイトルにあるとおり、この90点の写真は、す…
2015.11.12
ホーム・ベースから一塁までの、優雅きわまりないあの距離
 昔、たとえば1930年代に撮影したアメリカのプロ野球の、オフイシャルなゲーム中の写真ワン・ショットと、現代、たとえば1987年のワールド・シリーズの試合中の写真ワン・ショットとを、目のまえにならべて見くらべると、アメリ…
2015.11.11
人生に成功したければ、言葉を勉強したまえ
 人生に成功をおさめるためにぜったいに欠かせない最大の条件は言葉に習熟することだ、という伝統的な考え方が、アメリカにはある。この考え方は、いまでもつづいている。  たとえば、ハーバード大学のビジネス・スクール(経営大学院…