972編公開中。 今を映す手鏡のように
写真 の一覧
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2017.1.5
どこにもないハワイへの行きかた
 ハワイが島ではなくなっていく、とぼくが、ある日、自覚する。その自覚を土台として、センチメンタルな感情のたかまりが、おこってくる。まだ島としての香りや感情の残っている部分を、なくなってしまわないうちに、まるで落葉をひろい…
2016.12.10
だから三歳児は泣いた
縦書き
 二十五歳のとき、僕は自分の写真をすべて捨ててしまった。ゼロ歳から二十五歳までのあいだに、僕の手もとにいつのまにか蓄積した写真、たとえば誕生日に撮った写真やどこかへ旅行したときの記念写真、親戚の人や友人たちが、なにかのと…
2016.12.9
戦争は、写真うつりがいい
縦書き
『アメリカ海軍の戦争写真』というタイトルの写真集を、僕はいま見ている。《真珠湾から東京湾まで》と、サブ・タイトルがついている。ジャケットに使ってある写真は、バンカー・ヒルという名前のアメリカ海軍の航空母艦が、一九四五年五…
2016.11.20
文房具を買いに2013
 小さな文房具をひとつふたつ、いつも持ち歩く男、という人をかねてより僕は想像している。想像するだけではなく、僕がそのような人になってもいい。持ち歩く文房具にどのようなものがあるか。ほんの一例として、七つ選んで写真に撮って…
2016.10.25
個人的な絵葉書における、写真と民主主義の関係
『燃える大平原と紙でつくった月』のような本は、たっぷりと時間があるときには、ほんとにいいものだ。この本のなかには一九〇〇年から一九二〇年にかけてのアメリカ各地で作られて使用された絵葉書が二百ページちかい分量のなかに、どっ…
2016.10.24
しかし、アメリカには、貧乏もよく似合う
 いま世界でいちばん豊かな国はアメリカだと、多くの人が思っている。いちばん強くて、いちばん豊かで、あらゆる面で世界をリードしているのはアメリカだと、たいへんに多くの人たちが、すんなりと思っている。アメリカぜんたいが、面白…
2016.10.23
表現された秋、という荒野を歩いてみた
 いつから秋なのだろうか。秋はいつから、始まるのか。  俳句歳時記を、僕は見てみた。 「立秋(多くは8月8日)から立冬(多くは11月8日)の前日までが秋になる」  とあっさり書いてあった。  ついでに俳句歳時記のあちらこ…
2016.9.25
正解はブラック・コーヒーの色
 昼食のあと彼はオフィスへ戻った。午後の仕事をはじめて二時間ほど経過して、デスクの外線電話が鳴った。左腕をのばして受話器を取り、書類を見ながら耳に当てた。彼女だった。  電話をかけてきた親しい人に対する最初の言葉として、…
2016.8.1
今日は海岸で雲を見る
 目が覚めてベッドを出る。窓を開く。外を見る。そのとたん、よし、今日は雲を見よう、と決定する日が、ひと月のうちに一度はかならずある。雲を見ること。それは僕の趣味のひとつだ。  僕の好みの雲が出ている日は、体験によって正確…
2016.7.9
ゴールデン・スランバーズ|アビーロードのB面
 この激しい降りようは、いったいどうしたことだろうかと、彼女はひとりで思った。叔母さんの家で過ごした、明るく陽の射す午後が、まるで嘘のようだ。あの午後が終わってから、まだ五時間ほどしか経過していないのだが、あの午後といま…
2016.7.6
パムとはパミラのことか|アビーロードのB面
 町にいたときは快晴だったのだが、海岸まで来てみると、空には雲が出はじめていた。海岸は広く快適だった。人の姿は、遠くにひとりふたり、小さく見えているだけだ。  パミラは、初夏の街着のまま、海岸から海のなかへ入っていった。…
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