889編公開中。 今を映す手鏡のように
片岡義男エッセイ・コレクション『彼の後輪が滑った』 の一覧
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2016.4.29
お月さまはベルベット
 五月のゴールデン・ウィークがはじまるまえの日に、友人が遊びにきた。友人は、オートバイで、やってきた。たまたま庭に出ていたぼくは、下の私道に入りこんでくる彼のオートバイの排気音を聴いた。排気音は、ぼくの家の階段の下で、と…
2016.4.10
彼の後輪が滑った──2(春)
 不用意にも、そしてぶざまにも、ぼくは転倒する。あたりに人はいない。自動車も走っていない。ぼくひとりだけだ。ひとりで、ぼくは、オートバイで転倒した。  ほうり出され、ぼくは転がっていく。転がるほかに、方法はない。転がり…
2016.3.26
『彼のオートバイ、彼女の島 2』
 一九八六年の三月の刊行で、僕は『彼のオートバイ、彼女の島 2』という文庫を、角川文庫に書き下ろしている。これがどのような試みであるのかについて、僕はまえがきで簡単に書いている。その全文を採録する。このような試みは、内容…
2016.3.18
ひとりのバイク好きの思い入れ集
 一九四六年のホンダAというオートバイからはじまって一九八三年のヤマハXT600Zテネレにいたるまで、じつに二百六台の日本のオートバイについての、「ひとりのバイク好きの思い入れ集」(著者自身の言葉)をぎっしりとつめこんだ…
2016.3.17
ロードライダー
 全身で風を切り裂いて走りつつ、これからの行程を彼は考えた。ロード・マップを頭のなかに描いてみた。目的地までのルートなら、頭のなかにすでに叩きこんで記憶してあった。  その記憶をたどりなおすと、オートバイにまたがった彼は…
2016.3.16
深夜の地獄めぐり
 深夜の東京の、主として高速道路をオートバイで走りまわることを、彼は地獄めぐりと呼んでいる。なぜ、深夜に、地獄をめぐるのか。  彼の言い草は、こうだった。 「夜中なら道路に車がつかえてないから、事故のとき救急車も早く来て…
2016.3.14
4サイクル・ツイン
 東北、常磐、奥羽、信越などの地方をひと夏かけて自動車で走りまわったのは素敵だった。なんの目的もない旅だった。大好きな夏のなかで、気ままに自動車で走り、ディスカバー・ジャパンではないけれど、田舎の景色や人情に触れては、単…
2016.3.9
オン・ロード
 道路は、たしかに、きわめて日常的で陳腐な光景だ。  だが、ひとたびオートバイにまたがって走れば、魔法のサーキットになる。  道路がただ道路でしかない人に、魔法のサーキットについていくら語っても、らちはあかない。  しか…
2015.12.24
あの夜はホワイト・クリスマス
 あの年のクリスマス・イヴには、彼はオートバイで山のなかを走っていた。夜のまだ早い時間に峠道に入り、対向車も後続車もまったくない、彼だけのワインディング・ロードを気分よく走っていた。猛烈に寒いのだが、ときたまオートバイを…
2015.12.14
一台のオートバイが、ひとりの現代人を不安から救った
『息子と私とオートバイ』を書くための基本的な体験となったオートバイ旅行をしたとき、著者のロバート・パーシグは三十九歳だった。十一歳になる息子のクリスとタンデムで、ミネソタ州のミネアポリスからカリフォルニアまで、一台のオー…
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