884編公開中。 今を映す手鏡のように
1979年 の一覧
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2016.1.19
ジャニス、たしかに人生はこんなものなんだ 1
縦書き
 古風で頑丈なその玉突き台は、徹底的に使いこまれたものだった。横が四フィート、縦が八フィートの台をとりかこんでいる分厚い木枠には、長い年月にわたってたくわえてきた小さな傷やへこみが無数にあり、煙草の焼けこげの跡が、いくつ…
2015.12.24
あの夜はホワイト・クリスマス
 あの年のクリスマス・イヴには、彼はオートバイで山のなかを走っていた。夜のまだ早い時間に峠道に入り、対向車も後続車もまったくない、彼だけのワインディング・ロードを気分よく走っていた。猛烈に寒いのだが、ときたまオートバイを…
2015.12.19
おそすぎたラブレター
 古い教科書の表紙をあけると、最初の白いページに、先生のお名前が鉛筆で書いてあります。黄色く変色してしまったページに、当時のぼくの筆跡で、ミス・キャシー・ブルックス、とだけ、力をこめて書いてあります。順おくりに何回もおさ…
2015.12.7
チャタヌーガ・チューチュー
縦書き
 朝のまだ早い時間なのに、居間はもう暑かった。陽がさしこんだりはしないのだが、むっとするような空気がこもっている。  新聞を持った徳一は、居間からキチンへ歩いた。  キチンは北側にあり、この小さな家のなかでは、たいていの…
2015.11.28
二本の映画と一杯のコーヒー
1  ある秋の日の午後おそく。重い灰色に曇った日だった。タ暮れが近づきつつあり、重い灰色の中には、妙に季節感のない暮色が、いくらかは、かさなっていたはずだ。  ぼくは坂を降りてきた。その盛り場は、何本もの坂の途中や、坂か…
2015.11.4
深まりゆく秋です
 たとえば、深まりゆく秋という日本の季節感のなかをオートバイでツーリングしていてめぐりあう食べもの、飲みものについてすこし書いてみようかなと考え、過去の体験をあれこれよみがえらせていて、ひとつ面白いことに気づいた。日本の…
2015.10.19
オートバイはぼくの先生
 自動車は面白くもなんともない。乗っていても、すぐに飽きてしまう。たったいま書いたように、窓がテレビジョンのように思えてきて、退屈このうえない。それに、自動車でいくら長距離を走っても、自分の車の室内には、いつもの生活のに…
2015.10.19
ハワイのいなり寿司
 ハワイの田舎町の、ひなびた感じのスーパー・マーケットのはじっこ。「オカズ屋」という店でたわむれに買って食べたいなり寿司は、大げさに言うと、百年まえの日本の味がした。百年まえの日本をぼくが知るわけないのだが、ハワイの一角…
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