882編公開中。 今を映す手鏡のように
関係 の一覧
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2016.3.29
とてもいい友人どうし
 彼と彼女は、そろそろ四十歳に近づく年齢の、同世代の日本人だ。どちらも二十代の後半に結婚し、どちらも三十代のなかばには離婚した。いまはふたりとも独身だ。都会のなかで多忙に、しかしそれなりに楽しく、日々を送っている。  こ…
2016.3.23
見られることから始まる
 僕はTVを見ない。誰かほかの人がオンにしたTVの画面をふと見るのが、僕にとっての日本のTVのすべてだ。つい先日、ふと見た画面は、奇妙に面白い体験だった。  整然とした最先端の会社オフィス、という設定の場所を、ひとりの若…
2016.3.6
一九四五年秋、民主主義の始まり
 仕事の現場で、珍しく、久しぶりに、同世代の男性と知り合った。落ち着いたスーツにネクタイ、やや白髪の紳士だ。見た目での年齢の見当は僕にはつけがたかったが、太平洋戦争に日本が大敗戦した年の四月に、小学校一 年生になったとい…
2016.2.14
彼女は彼を愛していた
 彼女は彼を愛していた。彼も、彼女を愛していた。ふたりの関係は、とても素晴らしいものだった。このままいつまでもつづけばいいと、ふたりとも思っていた。  だが、丸二年つづいて三年目目に入ってすぐに、ふたりは別れなくてはいけ…
2016.2.13
四季のひとめぐり
「今日は記念日なのよ」  彼女が言った。 「そうだね」  彼が答えた。 「自覚してましたか」 「ちょうど一年だ。昨年の今日、僕たちは知り合った」 「あれから一年なのね」  平凡な言いかたに彼女は優しい感慨をこめた。 「一…
2016.1.13
ある種の恋人は現場に戻って回想する
 パトリス・ルコント監督は、好みのものをじっと見つめて観察するのが好きな人だ、と僕は思う。自分の好みのものをいつまでも自分のものとしていたいから、彼はそうする。見つめ観察する対象がたとえば彼女というひとりの女性なら、彼女…
2016.1.9
対話をしない人
 自分専用の固い枠の内側に守られ、そのかぎりにおいて安心して存在していることの出来る自分という人のありかたは、日本人のありかたの基本だと言っていい。ものごとの言いあらわしかたにかかわる日本語の基本能力が、主観という固い枠…
2015.12.30
日本語で生きるとは
「言語は実用の具であるとともに、人としての尊厳を支えるものである」  と書いた一枚の情報カードを、さきほどから僕は見ている。何年も前、本あるいは雑誌から、書きとめたものだ。僕自身の言葉ではない。ほかにもおなじようなカード…
2015.12.17
恋愛小説のむこう側
 ごく普通のスタイルで小説を書こうとするとき、主人公という役をつとめてくれる女性と男性を、ひとりずつ作らなくてはいけない。このひと組の男女がなんらかの関係を作り、その関係を変化させ、変化は何重にも重なり、その重なり合いの…
2015.11.5
対等に開放された関係の物語
『エドワード・ヤンの恋愛時代』はなかなか面白い。面白い、という言いかたは、僕の言葉づかいの癖のひとつだ。見ていて盛んに笑うことが出来た、というような意味ではない。いろいろと考えて楽しむきっかけを作ってくれるから、見ておい…
2015.11.2
結婚する理由がない、と彼女が言う
 この短い文章のためにぼくにあたえられているテーマは、「男が結婚したいと思う女性には共通項がある」というテーマだ。ぼくは困った。共通項がある、と断定してある。しかもその断定は、男性の側から一方的になされたものであるらしい…
2015.10.29
最初から絶対に孤独な人たち
 映画『ぼくの美しい人だから』の原作『ホワイト・パラス』(邦訳は新潮文庫『ぼくの美しい人だから』)のことを、ぼくはイギリス版の『エル』に掲載されていた紹介記事で知った。もう二年ほどまえのことだ。この小説は面白そうだ、ぜひ…
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