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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

だから彼らはいまでも半人前が好き

 僕はこれまでにかなり数多くの小説を書いてきた。ごく特殊な場合を別として、ストーリーにはそれを支えて進展させていく人、つまり主人公というものが必要だ。僕が書く小説の主人公は、ほとんどの場合、女性だ。僕の小説のなかで、主たるアクションを起こす人は女性であり、男性はそのアクションに対して反応していくリアクションの人だ。
 モデルが存在する場合が、なくもない。しかしひとりの現実に存在する女性をモデルにして長編小説を最初から最後まで書ききることはなかなか出来ない。どこかでかならず不足が出てくる。現実だけでは間に合わず、大きく補う…

底本:『ノートブックに誘惑された』角川文庫 1992年

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