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手帳に書くことなんてなにもない

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 ぼくがいま使っているダイアリーの、四月二十五、二十六、二十七日の、クロースアップだ。このダイアリーでは一日が一ページであり、したがって二日を経過すると、右のページの右下の隅を、カーヴして入れてあるミシン目から切りとるのだ。すでに経過してしまった日々は、写真で見るとおり、ページの端がなくなっている。ある冬の日の午後、前年のダイアリーを、ぼくは撮影した。

 ぼくは手帳類は好きではないし、使わない。手帳に書くことなんて、なにもない。手帳にびっしりとなにごとかを書きこんでいる人がよくいるけれど、いったいなにを書いているのだろうか。日記も、ぜったいにつけない。しかしいつどこでなにをするという予定や、いつどこでなにをしたという簡単な記録は、やはり最低限は必要だ。だから、このダイアリーを使っている。毎日、一行か二行しか書くことはない。西ドイツの、リドという会社のものだ。日本で手に入る。ぜんたいの作りを、ぼくは気にいっている。なんの理由もなく二冊買う年すらある。そして、そのうちの一冊は、新品のままその年を終える。

(2016年4月25日に掲載 『彼らと愉快に過ごすー僕の好きな道具について』1987年所収)


1987年 『彼らと愉快に過ごすー僕の好きな道具について』 ドイツ リド 手帳 文房具 道具
2016年4月25日 05:30
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