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片岡義男.com 全著作電子化計画

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書評

アメリカの心がうたう歌が聞こえる

『アーサー・ロススタインによる、写真に写しとられた一九三〇年から一九八〇年までのアメリカ』という一冊の写真集には、ブラック・アンド・ホワイトによる九十点の写真がおさめてある。タイトルにあるとおり、この九十点の写真は、すべて、アーサー・ロススタインが撮ったものだ。一九三〇年から一九八〇年まで、じつに五十年間にわたるアメリカを、九十点の写真によって、見渡すことが出来る。
 この写真集は、一種のアメリカ早わかりのような機能を持つ、と僕は思う。早わかりと言ってもそれはけっして安直なものではないし、この写真集を早わかりと呼ぶことに…

底本:『本についての、僕の本』新潮社 1988年

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