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蛇の目をさして歩ける道はないか

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蛇の目をさして歩ける道はないか

 蛇の目が、三本。どれもみな、いくたびに、京都で買った。買ったまま、使わない。ふさわしいチャンスがない。手に持った感じは、とてもいい。匂いもいい。開いていき、開ききってストッパーがかかるときの音も、いいものだ。そして、開いているところを下から見てもいいし、上から見下ろしても面白い。雨を受ける音もいい。日本の街の道路は、人が散歩するようには出来ていない。人を効率的に動かすための道路ばかりだ。したがって、蛇の目など、入りこむ余地は、もはやないと言っていい。

(底本:『彼らと愉快に過ごす──僕の好きな道具について』小学館 一九八七年)

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1987年 『彼らと愉快に過ごす──僕の好きな道具について』 道具
2017年6月17日 00:00