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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

「理解」などするからいけない

 日本では英語の勉強は中学からはじまることになっている。しかしそれ以前から、一見したところ単純な単語なら、すでにいくつも知っているのが普通だ。「犬」は dog、「本」は book、そして dog は「犬」、book は「本」と、記号的な意味の一部分を対応させるかたちで、じつに多くの幼い子供たちが、英語の単語を知っている。
 中学から学校の教科としてはじまる英語の勉強の内容は、英語の単語を日本語に対応させ、日本語の単語を英語に対応させるという、じつに浅薄な単語主義および意味の対応主義の強制だ。大学にいたるまで、英語の勉強は…

底本:『アール・グレイから始まる日』角川文庫 1991年

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