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評論・エッセイ

表現された秋、という荒野を歩いてみた

 いつから秋なのだろうか。秋はいつから、始まるのか。
 俳句歳時記を、僕は見てみた。
「立秋(多くは8月8日)から立冬(多くは11月8日)の前日までが秋になる」
 とあっさり書いてあった。
 ついでに俳句歳時記のあちらこちらを、僕はひろい読みしてみた。
 新涼。葉月。やや寒。寝待月。青北風。出水。障子洗う。秋耕。鬼火市。などという美しい、情緒豊かな言葉が、歳時記のなかにはびっしりとならんでいた。
 寺田寅彦は、俳句歳時記を、「日本人の感覚のインデックス…

底本:『昼月の幸福──エッセイ41篇に写真を添えて』晶文社 1995年

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