365日、毎日更新 今を映す手鏡のように
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2017.6.29
彼女が雨を見る態度
 1   秋の雨の頃、仕事の帰りに彼女は京都に一泊した。京都は雨だった。その雨の京都から、彼女は、親しい友人に宛てて、絵葉書を出した。絵葉書に彼女は次のように書いた。 『雨の京都で蛇の目を買いました。さっそく、それをさし…
2017.6.28
ふたりは一九六六年を思い出す
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 ビートルズが日本に来たとき、ぼくはいわゆる「社会人」となって仕事をしていた。フリーランスのライターとして、いろんな雑誌に文章を書くのが仕事だった。親しく仕事をしていたある雑誌の編集員から、ビートルズの記者会見にいかない…
2017.6.27
日常からひょいと離れてテントのなかへ
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 正面がAフレームになっている、フロント・エントリーのふたり用のテントだ。適当な草地に張ったところを写真に撮るのも普通すぎるので、収納用の袋におさまっている様子を、写真に撮ってみた。テントの全長は8フィート6インチ、そし…
2017.6.26
どこにでも部屋を作る才能
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 彼女はテントをいくつも持っている。興味を引くテントを見ると買ってしまう。だからいつのまにか数多くなる。いまでは毎年ひとつ、テントを買っている。冬のあいだに買い、春になると試してみる。そして夏に最終的な試用をし、秋から冬…
2017.6.25
登場人物たちの住む部屋
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 ぼくは十五年以上にわたって、小説を書いてきた。書いている当人にとっては、真剣な遊びのようなものであるが、たとえば税金の申告のときには、作家とか文筆業として申告するので、小説を書くのは仕事でもあるようだ。  その小説の背…
2017.6.24
波止場通りを左に曲がる
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 デビューしてまだ間もない頃の美空ひばりを、何点もの写真で見ることができる。多くの写真に彼女は撮られ、それはさまざまな刊行物のなかに複製されている。そのような写真を数多く見ていくと、やがてはっきりわかってくることがひとつ…
2017.6.23
金曜日の午後の飛行機だった
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 二階にあるコーヒー・ショップの、奥の窓ぎわの席で、ふたりは小さなテーブルをはさんでさしむかいにすわっている。「コ」の字型の建物が内側へかこいこんでいる内庭のようなスペースを、ふたりは窓ごしに見おろすことができる。内庭に…
2017.6.22
模型飛行機の午後
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 週末の午後の待ちあわせの場所へ、彼女は、紙包みをかかえてあらわれた。ふと入ったホビー・ショップでみつけて衝動買いしたのだと言いながら、彼女は包みのなかのものをぼくに見せてくれた。  ゴム動力で飛ぶ模型飛行機の組立てキッ…
2017.6.21
好きな歌の集めかた
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 いつのまにかLPレコードがたくさんたまってしまった。何枚あるのか数えたことは一度もないが、とにかくたくさんある。たくさんあるだけではなく、いろんなジャンルに広くまたがっている。大きなレコード店へいくと、数多くのLPレコ…
2017.6.20
『カサブランカ』を観て、読んで、聴いた日
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 幼少の頃からはじまって、小学生、中学生、高校生をへて大学生と、どの段階でも、僕は映画を映画館で観てきた。大人になってからもそうだし、いまでもたまには映画館で観ている。  たまに映画館でも観るけれど、ほとんどの場合は、ヴ…
2017.6.18
ラハイナ
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 深いブルーの空からショッピング・センターのコンクリートの駐車場にむかって、強い陽射しが明るく照りつけている。その駐車場に面して、カフェテリアがあった。建物の片隅を、ふと思いついてカフェテリアにしたような、小さな店だ。店…
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