ここからが難しいんだよね

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●8/14〜8/20

 日本語の課題文は、「ここからが」と「難しいんだよ」の、ふたつの部分に分かれる、と僕は思う。前半の「ここからが」は、ここまでという過去と対比させて、これからという将来の時間のなかに、状況を設定している。後半の「難しいんだよ」の部分は、「ここから」という状況の性質について、言及している。状況とその性質の説明、それが課題文の日本語だ。

 英語の例文は、昔からあるきまった言いかただ。どのようにとらえて言っているか、直訳してみるとよくわかる。「さあこれから、難しい部分がやって来る」と、英語では言っている。難しい部分が、「やって来る」という具体的な動きによって、目の前にあらわれる。状況とその質を問題にしている日本語の言いかたとは、根本的に異なる言いかただ。

「難しいんだよ」と日本語では言っている部分が、英語ではタフ・パートという、じつにわかりやすい名詞になっている。だからこそ、それは「やって来る」のだ。

 

片岡義男の Answer:Now comes the tough part.

(毎週月曜更新|『英語で言うとはこういうこと』角川oneテーマ21、2003年所収)


2017年8月14日 00:00