表現に配慮を欠いた点があったのは認めます

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●4/10〜4/16

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 日本語の課題文のなかにある、「点」というひと言に注目したいと思う。「表現のしかたに配慮を欠いたのは認めます」とは、課題文では言っていない。配慮を欠いた「点があった」のは認めます、と言っている。表現のぜんたいが配慮を欠いたものであったのではなく、表現のなかの一部分が配慮を欠いたものだった、と言おうとしている。

 さあ、このような言いかたの場合の、「点」という一文字は、慣れていない人にとってはかなり難しい。「点」という言葉のこのような使いかたが、日本語による日常のなかで頻繁に用いられているにもかかわらず。

 この文脈での「点」というひと言の意味は、部分的には、ある程度までは、ある段階までなら、ある範囲までは、というような意味だ。だから身も蓋もなくそのとおりを英語で言うと、例文のようになる。「点」という日本語を英語の側から観察しなおすと、これはやはり曖昧語の最たるもののひとつなのだ、ということがわかる。「表現」という概念的な言いかたが、英語では「言葉の選びかた」となっている「点」にも注目を。

片岡義男の Answer : I admit to a certain extent of carelessness in my choice of words.

(毎週月曜更新|『英語で言うとはこういうこと』2003年所収)

 


2017年4月10日 05:30