相場の三分の一で

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●3/6〜3/12

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 いちばん最後の「で」が、初歩の段階では面倒なところではないか、と僕は推測する。「三分の一」をワン・サードと言うことができ、「相場」はたとえばカレント・レイトと言える人でも、「で」は省略してしまい、ワン・サード・オヴ・カレント・レイトというふうに、名詞句をひとつ、ころんと相手の前に転がすような言いかたで済ませ、それがその人の英語となっている例が、たいへん多いのではないか。

 わずか三つの文字でできている、このforという小さな一語を気にとめない癖がいったんついてしまうと、いつまでたってもforやof、at、in、on、toなど、小さな言葉のすべてに頓着しない人になる。こういう人は、英語を使う能力が、いつまでたっても高まっていかない。なにをどうしたいのか、なにをどうするのか、方向や到達点をなおざりにするのだから、言いあらわす能力が向上していかないのは当然のことだ。「これを百円で買いました」という簡単なことでさえ、正確に言えないままとなる。だからここでもまた、ワン・ヘンドレッド・イエンと、名詞句を転がして済ませてしまう。

片岡義男の Answer : for a third of the going rate

(毎週月曜更新|『英語で言うとはこういうこと』2003年所収)

 


2017年3月6日 05:30