今日は口数がおおい(その6)|「『蛇の目でお迎え』はこう作られた」

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サポーターのみなさんには萩野正昭さんの「『蛇の目でお迎え』はどうつくられたか」に続いて、片岡義男さん自身の「蛇の目でお迎え』はこう作られた」を公開しています。

しばらく前に片岡さんと話していたとき、200ページほどの本で、前半は短編小説、後半はそのメイキングというのを作ってみたいという話になりました。そのアイディアが今回実現したことになります。紙の書籍ではないので、ページ数という制限がなかったからこそ、期せずして実現したのかもしれません。

最初は下高井戸の喫茶店ぽえむに参集した人たちから質問を出してもらい、それを片岡さんが自分で構成するということでスタートしたので、書いていただくときには私からいくつか質問のようなものを送りました。一番めはコロッケについて、こんなふうに。答えはちゃんと原稿のなかにあります。

・コロッケ
コロッケを小説で使ってみたいというアイディアが最初にあったとお聞きましました。コロッケとは何なのか、もっと詳しく知りたいと思います。高級なコロッケもたくさんありますが、ここに出てくるような惣菜屋で買うのがもっともおいしいコロッケだと感じるのはなぜでしょうか。ふたりでいっしょにお店に行って買う、ということもストーリーにとっては大事です。

片岡さんから原稿が届いたとき、私はちょうど5月に電子版を発売予定の「ボーイフレンド・ジャケット」のチェックをおこなっているところでした。主人公の男性は尾崎冬彦さんといい、小説家です。女性は佐々木律子さん。実はふたりは15歳のときに中学で同じクラスだったことがあったのです。彼女は覚えていて、彼のほうはすっかり忘れていたことが、最後に明かされるという愉快な結末です。届いたばかりの「『蛇の目でお迎え』はこう作られた」を読むと、「ボーイフレンド・ジャケット」には「蛇の目でお迎え」と共通するところがいくつもあるのです。こちらは文庫一冊分の長い小説なので、なかに冬彦さんが書いたという短編がいくつも出てきて、それがまた楽しい。底本の表紙の袖のところに「この著者だけに書ける、知的にひねった、ほろ苦い、くやしいほどさっぱり、短編のような長編」とあります。言えてますね。特に、くやしいほどさっぱり、というところ。これも片岡さんが書いたという可能性があるのではないでしょうか

八巻美恵@編集部

2017年4月27日 13:00