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今日は口数がおおい(その5)|小説45冊を発売しました

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オートバイ、写真、音楽と、片岡さんの変わらない興味を題材に使いながら、今回もいろんな人間関係が小説となっています。会話や行動から、登場する女性が次第にその強さと魅力を増していることがよくわかります。常に相手の男性と対等です。このころからの小説は女性についての観念小説として、女性にこそ読んでほしいと願ってきました。そうした魅力はエッセイでご紹介した「作家とはなにかにもよくあらわれています。

2010年を過ぎてから、「文學界」と「群像」の編集者から、あいついで片岡さんに小説の依頼が来たことを思い出します。編集者はふたりとも女性で、当時はまだ20代でした。片岡さんの小説をずっと読んできたから、というような特別な思い入れはなく、しかし編集者として、いまおもしろいのは片岡義男だと感じたからということでした。

ふたりからの依頼をきっかけにして、『恋愛は小説か』(文藝春秋 2012)、『ミッキーは谷中で六時三十分』(講談社 2014)という2冊の短編小説集が出ました。それがそれ以後の片岡さんの活躍につながっていると言っていいと思います。20代の女性たちの提案からはじまって今がある。そして最近の小説のなかの女性たちはますます観念的な度合いを高めているわけです。

発売中の作品には解説文がありますから、それを参考にして、女性が際立つ小説を選んでぜひ読んでみてください。なかにはヒドい男性が出てくるものもありますので、要注意ですけれど、それはそれでなかなか書けない面白さがあります。

45冊のラインアップのなかに「その日はじめてのコーヒー」というタイトルの小説がふたつあるのも愉快ですね。

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本の表紙をクリックすると[試し読みから → 購入まで]できます

同じタイトルですが、共通点はタイトルの「その日はじめてのコーヒー」しかありません。片岡さんのアイディア力を実感するために読み比べてみるのも楽しいです。

八巻美恵@編集部

2017年4月20日 11:00